米ドル/円相場は、1ドル=99.50~100.00円水準まで値位置を切り上げている。9月6日に発表された8月米雇用統計が市場予測を下回ったことを受けて、一時的にドル売り・円買いが膨らむ場面も見られたが、週末の2020年東京オリンピック開催決定を受けて改めて円売り圧力が強くなったこともあり、総じて100円の節目を窺う流れが維持されている。
8月米雇用統計であるが、非農業部門就業者数は前月比+16.9万人となり、市場予測+18.0万人を下回った。必ずしもネガティブな数値という訳ではないが、特に金融緩和政策の早期縮小を支持する内容にはならなかったことが、米金利上昇・ドル高の流れにブレーキを掛けた。もっとも、これが9月18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で債券購入縮小決定を阻害する可能性は低いことで、改めてドル売り・円買いを仕掛けるような動きには発展しないだろう。今後も各種経済指標から、米経済の底固さを確認する動きと連動して、ドル高・円安圧力が強まる展開がメインシナリオになる。100円の節目では戻り売り圧力も強いが、米金利上昇トレンドが維持される限りにおいては、同水準のブレイクは時間の問題となろう。
東京オリンピック開催決定を受けて、建設・観光需要の拡大期待から株高・円売り圧力が強くなっているが、これは一時的な動きに留まる見通し。消費者マインドへの影響は期待できるが、まだ需要押し上げ効果が顕在化するには時間が必要。一方、4~6月期の国内総生産(GDP)は、前期比年率+3.8%と速報の+2.6%から上振れした。市場予測の+3.9%には届かなかったものの、総じて良好な実体経済環境が確認されたことも、緩やかなドル高・円安傾向を支持しよう。
テクニカルでは、一目均衡表の雲がある98.20~99.30円水準を支持線に、100円の節目ブレイクを試す展開。7月8日高値101.53円がターゲットに。サイコロジカルは、前週の8勝4敗から変わらず。14日RSIは58.28。
今後1週間の予想レンジは、98.20~101.50円。